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Case 03 脱いだ靴下は、歩いて洗濯機には行きません(1/3)

Author: Amy
last update publish date: 2026-09-29 08:00:30

「いらっしゃいませ」

私は、目の前の女性に椅子を勧めた。

「本日は、旦那様ですか? 彼氏様ですか?」

女性は床に置いた大きな紙袋をちらりと見てから、ため息をついた。

「夫です」

「かしこまりました」

私は赤いペンのキャップを外し、新しい受付票を一枚取り出す。

受付番号:003

女性の名前は宮本彩、36歳。夫の直樹は38歳。結婚8年目。小学1年生の息子がいる。

「ではまず――今日、何をされました?」

彩さんは紙袋を持ち上げ、どさりと置いた。

「靴下がないって言われました」

「靴下?」

「今朝、『俺の黒い靴下、またなくなってるんだけど』って」

「それだけですか?」

「それだけなら来ません」

紙袋の口が開く。

黒、紺、グレー。

男性用の靴下がぎっしり入っていた。

「こちらは?」

「なくなったって言われた靴下です。片方だけで17枚」

私は赤いペンを走らせた。

本日の罪状:自分で脱いだ靴下の所在を妻に問う

「どこに?」

「ソファの下、ベッドの横、脱衣所、テレビ台の裏、車の後部座席……」

「洗濯かごには?」

「2枚」

「17枚中?」

「はい」

私は受付票へ書き足した。

常習性:常習

主な症状:靴
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